会員コラム

技術フォーラム会員によるコラムを定期的に掲載します。
コラムの字数は400〜600字程度、掲載は月1回程度のペースとします。
下記の投稿のマナーを守って、内容は自由です。
・他人の悪口を書かない
・自己PRはダメ
一般論ではなく、自分しか知らない話、自分しか持っていないデーターを基に書き、自分流の面白い視点で書く。
監査や、コンサルの仕事を誘発するような、また、関連する課題提起とする。
山椒は小粒でも…、の例えのように、面白い議論のきっかけとなる話題とするように心がける。



20170304 メキシコ国境壁デザインの公募開始     原田敬美 博士(工学)、技術士(建設)、一級建築士

アメリカ連邦政府国土安全省はトランプ大統領の公約通り国境の壁のデザインを担当する建築事務所の公募を開始しました。
既に200の建築事務所が事前登録したそうです。
第一次審査、二次審査と手続きを経て最終的に設計事務所が選ばれます。

一方メキシコの建築家が、トランプ大統領へのあてつけか、国境の壁のデザインの提案をしました。

ユダヤ系の建築家リベスキンドやホールなどはトランプ大統領の考えに批判の文章を発表しています。
言論の自由なアメリカならではの現象です。

国立競技場の設計や豊洲の設計で様々な議論が生じました。
フランス、パリのサン・ドゥニサッカー競技場(98年ワールドカップのメイン競技場)はフランス人マッカレーがデザインしました。
40歳くらいの若手建築家です。
コンペで受注しました。
彼は数人の設計事務所の経営者です。97年、工事現場で彼に案内してもらいました。
日本ではありえない選考方法です。欧米ではそれが当たり前の方法です。
構造技術は、エンジニアリングに外注です。

音楽でも美術でも、日本では体制側に近い、無難な方が入賞します。(審査員の弟子や愛人など)
オザワセイジ、視覚障害者の辻井さん(原田家と会食したことがありますが)など、欧米では、意外な方を発掘するのが審査員の役割ということになっております。
オザワセイジが、読売新聞のインタビューで、「貧乏で、無名で、かつ、当時無名の音楽大学を出たオザワを優勝させてくれたカラヤン、バーンシュタインに感謝する」と述べ、一方で、「日本の体制側に居る人種を批判」しています。
日本の公共事業の選定プロセスも同様です。


20160626
トルコの技術者事情、女性の進出とベンツ所有    原田敬美 博士(工学)、技術士(建設)、一級建築士

平成28年5月25日地中海沿岸域の建築技術の学会がイスタンブールのイルディス大学で開催されました。大会委員長(トルコ人女性でトルコのコジャエリ大学准教授)とご縁があり、招聘され、私は論文を提出、発表しました。テロ騒ぎの中、27か国100名が参加しました。日本から私含め3人参加しました。
イスタンブールは1500万の長い歴史を抱く大都市。トルコのGDPは日本の10%ですが、イスタンブールの経済は路面電車などの公共料金からするとほぼ東京並みの経済水準。
技術分野で驚いたことは3つです。
1つ目、イスラム教の国ですが、学会発表者の半数近くが女性技術者でした。日本の建築学会ですと女性の発表者は少数です。
イスタンブール市役所のご好意で地下鉄の工事現場を視察しました。現場監督の話では、土木工事に女性の技術者が増えているそうです。ここではドイツ製のシールドマシンが使われています。地下鉄の駅に大規模な駐車場も同時に造られています。横割りのインフラ整備です。こうした計画内容は日本ではありません。2年後に完成予定です。
2つ目、友人である34歳のトルコ人(博士号を持つ構造技術者、トルコでトヨタの工場の構造設計を担当したそうです)夫婦が(奥さんは環境技術者)イスタンブール市内を案内して下さるということでホテルで待っておりました。彼は高級仕様のベンツでホテルに到着。初めてベンツに乗りました。
3つ目、ボスポラス橋やボスポラス・トンネル、現在施工中のマルマナ海を渡る橋は日本の建設会社が担当しました。日本の技術と技術者がトルコから高く評価されている証です。
トルコで目撃した建設分野での女性の活躍と技術者がベンツに乗っていることを考えると、同じ技術者といっても国により状況が全く異なることが分かりました。旅はすべきものと改めて思いました。

20160319
定例の会に参加して思うこと    大岩敏男(博士(工学)、技術士(環境))

技術士事務所としての業務を開始してから、ほぼ5年が経過しました。この間、セミナーや学習会にも参加し、それまでの職場関係とは異なる分野の方からお話を聞く機会も多くありました。
その中で、ともに出席率は芳しくありませんが、現在定例的に参加している集まりが2つあります。一つは、当NPO法人地域と行政を支える技術フォーラムの月例会で、技術監査の重要性はもとより社会人として業務を遂行するにあたっての心構えなどを再認識させてもらっています。
もう一つは、日本技術士会東北本部倫理研究委員会主催の月例学習会で「SGEE(Study Group Engineering Ethics)の会」です。技術士に限らず誰でもが自由に参加できる会です。毎回約10名程度が参加し、各自が持ち寄った技術者倫理に関するテーマについて意見を交換します。昨年は免震ゴム性能の偽装問題、杭打ちデータ偽装問題などについても議論しました。直近では3月17日に開催され、司法判断による高浜原子力発電所の運転差し止め、内部告発者への報復人事に対する罰則に関する公益通報者保護法の見直し、電力安定供給と技術者の役割(電力会社と下請け技術者の関係等)、高専における技術者倫理に関する講義内容等がテーマでした。SGEEの会として結論を出すのではなく、多くの視点からの意見を出し合いながら問題点を掘り下げていこうというのが会の目的です。正反対の意見が出されることもありますが、後にしこりを残さないよう参加者は心がけており、会終了後の簡単な懇親会では和やかに話が弾みます。
高齢者になるほど頑固になり、人の話を聞かなくなるということを耳にします。60代半ばとなりましたので、人の話をよく聞き、いつまでも頭を柔らかく保つことを心がけなければと思うこのごろです。

20160107
今澤 伸次   技術士(建設部門)

工事監査と岡目八目
工事監査では、対象となる公共工事の妥当性、公平性、適切性、経済性などを確認します。その方法は、工事の調査、設計、積算、契約、施工の各段階の書類の閲覧、現場の視察、並びに担当職員へのヒアリングです。工事検査(会計法に基づく検査と、技術検査要領等に基づく技術検査)は、基準に照らして適不適や異常・不正の有無を調べます。これに対して工事監査では、工事検査の概念を含んだ「検証」と、是正と予防からなる「改善」を主目的としています。査問や摘発が狙いではありません。
工事検査は、任命された検査職員が行いますが、工事監査は、監査委員が行います。監査委員は、弁護士、公認会計士、税理士、監査等事務経験のある国・地方職員であった者の中から、議会の決議を経て任命されます。しかし工事は、土木、建築、機械、電気、通信、上下水、廃棄物などの専門分野が多く含まれているため、監査委員を支援する専門家が必要です。これを内部の技術職員が行う自治体もありますが、第三者の専門家に委託する場合があります。
さて、囲碁に由来する「岡目八目」という言葉があります。対局当事者よりも、わきで見ている第三者の方が八目先を見通せるという意味です。これは、工事監査にも当てはまる言葉だと思います。
内部の有能な人材を活用することは、合理的で理にかなっています。しかし、外部の中立の技術士が持つ知識や経験は、内部では気が付かなかった事柄を課題として抽出し、先進的な取組みを外部の視点で公平に評価することができます。こうして整理された工事監査の報告書は、行政機関にとって有益な「改善」をもたらすものと考えます。
市民ニーズが多様化する一方で、税収が減少し、重要構造物が老朽化しています。安全・安心な地域環境を維持するため、公共工事の果たす役割はますます重要になってきています。私も工事監査を通じて社会に貢献できるよう、一層の技術研鑽に努めると心に決めた新年です。

20151115
伊藤 寛     技術士(電気・電子部門)
近年、エネルギーマネジメントシステム(EnMS)が注目されています。日本では、オイルショックを契機としていわゆる「省エネルギー法」が制定され、各事業所の省エネルギーの推進が義務付けられています。2011年の震災の影響もあり先年「省エネルギー法」が改正され、「電気の需要の平準化に関する措置の導入」、「トップランナー制度の建築材料等への拡大」、「電気事業者に係る措置の導入」が追加されました。特に、「電気の需要の平準化に関する措置の導入」においては、電気需要の平準化に取り組むべき措置として、以下の3項目が示されています。
−チェンジ:電気の使用から燃料・熱の使用への転換
−シフト:電気を消費する機械器具を使用する時間の電気需要平準化時間帯以外への変更
−カット:電気需要平準化時間帯内でのエネルギー使用の合理化
 私は15年間ほど、深夜電力を有効利用した潜熱蓄熱式空調用熱源システムの仕事に従事していました。その間、ヤフオクドーム、みなとみらい21地区、JR東海名古屋駅ビル、東京ビッグサイト、大規模ショッピングセンターなどの熱供給施設に設備を納めてきました。先日、14年前に納入した設備について、管理会社(中国電力(株)の系列にあるESCO会社)の担当者から連絡があり、「某ショッピングセンターに納めた潜熱蓄熱槽はあとどれくらい使用に耐えるのか」という問い合わせでした。そこで、よくよく聞いてみると以下のようなことでした。
・そこのショッピングセンターでは、会社の方針として省エネに力を入れていて、2年前に蛍光灯をすべてLED照明に交換した。
・その結果、夏季の冷房負荷が半減し、潜熱蓄熱槽の導入効果が向上している。
(注:潜熱蓄熱槽は深夜電力を使って蓄熱し、昼間の冷房負荷に応じて放熱するので、電力デマンドのピークカットに有効な設備です。また、この熱源設備は完全無人化、インターネットによる遠隔監視で運転されています。)
・現在、ショッピングセンターの増築(増床)計画があるが、現在の潜熱蓄熱式熱源設備を使って増築部分を空調し、熱源設備は増設しないことになっている。
この話を聞いて、早速現在の運転データを送ってもらい、10年前のデータと比較した結果、
・夏季の冷房負荷は40%減少した。
・空調熱源設備の夜間移行率は70%から95%に向上している。
すなわち、大規模ショッピングセンターの夏季の空調熱源に昼間の電気はほとんど使っていない状態になっていることがわかりました。
 これは相当重要なことを示しています。つまり、
− LED照明への交換による冷房負荷低減の具体的なデータが採取できたこと。
− 深夜電力の有効利用によって電力デマンド低減が14年間確保できたこと。
− 完全無人化された設備が遠隔監視で長期間の運転に耐えうるものである。
− EnMSの成果が経営方針を決定したこと。
特に、4番目は、私はこれまで具体的な事例を聞いたことがありませんでした。
 管理会社の担当者には、私はこう回答しました。
− 潜熱蓄熱材はあと15年は大丈夫だろう。
− ただし、状態がどうかは毎年運転データを精査してチェックしなければならない。
− 併せて、運転方法も含め更なる省エネルギー策をたてるべきである。
− そのためには、技術コンサルタントに依頼するのが良いと思う。

さりげなく(?)、技術コンサルタントの必要性を主張してみましたが、新電力の話題も含め、技術フォーラムの会員の方々がさらに活躍できる場面が増えてくるのではないでしょうか。


20151026
味噌と味覚の変化   石川 敏行   技術士(電気・電子部門)

 幼少のころ、田舎の家では、冬になると味噌や醤油を造っていました。その道具が納屋や天井裏にあったことが脳裏に残っています。
発酵は日本の食生活に欠かせない技術です。「発酵とは食品に微生物が繁殖してその成分が変化することであり、仕組みは腐敗と同じであるが、特に人間にとって有用な場合に限って「発酵」と呼ぶ。」と、文献に記載されています。
発酵するときには独特の香りを発する「発酵食品」も多く、くさや、納豆 などは、アミンや硫化物、アンモニアなどの独特な香り・刺激臭を伴うこともあります。特にアルコール発酵は、特定の少数の微生物のみでおこなわれ、その家庭のいきさつに関係した様々な微生物が発酵に関係していかと思います。私たちが日々食している味噌や醤油は、その例でありますが、その微生物の組成が異なれば、微妙に味も異なります。それぞれの家では、その家ならではの微生物が、古くから伝えられ、家ごとに味の違いがありました。

親戚の家に行き、味噌汁を食したときに独特の味に対し、違和感を感じたときもありました。
大学を卒業すると、就職で東京での生活を始めましたが、実家に帰ると母の作る味噌汁に旨さを感じました。実家の味噌汁の味に、「違和感のない心地よさ」を感じた人は多いかと思います。味覚は、幼少のころの感じ方が脳に残っていて、共感を覚えるのでしょうか?
調べてみると、子どもは、味覚経験が少なく脳にもその判断情報が少ないことから、これまでに受けたことのない味覚(情報)を「不快」と感じ、「まずい」と判断してしまうことが多くなり、「嫌い」と判断してしまうとのことです。食べ物の味を舌で感じ、その味を脳へ伝達できる味の種類は大きく5つ、塩味、甘味、旨味、苦味、酸味です。そこで、こどもから大人までの食事の経験を積み重ねることによって味覚に対する判断基準が変化していくとのことです。
小さいころビールの苦さに、「なぜこんな苦くてまずいものを飲む」のだろうと感じたことは、多くの方が経験したかと思います。けれども、食事の経験を積み重ねることにより、まずいと感じたビールが今では、その味が充実感の一つとなっています。

20150703
公共の領域には監査による評価が必要 石井 利明

私は近所の保育園の環境学習を手伝っています。
数年来やってきて、環境学習(大きく言えば自然管理にも)監査が必要だと考えるようになりました。

そう思った経緯を書いてみます。
私は、県の主催した、環境学習のミーティングに参加した時に発言を求められたので、以前から、気になっていた「ブラックバス」について話しました。
それは、教育委員会が主催した「ブラックバス駆除」の環境学習について、疑問があったからです。
その疑問とは、参加した小学生の
「ブラックバスを駆除して楽しかった」という感想を読んだときの違和感です。

それを読んで、私は教育委員会の人たちに尋ねました。
「楽しいというのは、学習の方向性が間違っているのではないでしょうか?
先生方は、その一方で、命の大切さや虐めはいけないと言っているのでしょう?」

担当者の方は、怒ることなく、「そうですよね」と言ってくれました。
私は、小学生くらいの子供が善悪(ブラックバスは生態系を乱す悪者という理屈でしょう)で生き物の命を奪うことに薄気味悪さを感じます。

人間が自然環境を人間の都合でぶち壊す、そのインパクトはバスの比ではないでしょう。
そんな大人が、子供にバスを駆除(殺)させる。
それも、良いこととして。

私が子供の頃の子供は、残酷といえば残酷でした。
カエルの口に爆竹を突っ込んで爆裂させる、ことを喜んでいるガキもいました。
この悪ガキと"駆除して楽しかった"という感想を子供に大きな違いは無いと私は思います。

始末に悪いのは。
こんなことをした子供でも、分別が付くようになれば
「酷いことをしたなぁ」
と思うでしょう(思わないなら病気でしょう)。
身勝手で残酷な自分(人間)の本性に気づくでしょう。

では、バスを駆除した子供は酷いことをしたなぁ、と思うでしょうか?
私は、思わないと思います。
だって良いことをしたんだから。
これは恐ろしいなぁと思ったので。

「せめてバスの駆除をするときは、周りの環境の大切さを教えて、生き物の住処(すみか)を一緒に作る事とセットにして行ってください」
と担当者の方にお願いしました。

環境学習にも監査があれば、善悪の価値判断だけではなく、役に立つ事や生産性が求められるはずです。
自然管理も公共事業です。
公共事業なら、第三者の複視的な監査による評価が、みんなの為に必要ではないでしょうか。


2015/4/20
技術フォーラムの例会                    森 豊  技術士(機械)

技術フォーラムに参加して5年になる。その間、月1回の例会にはほぼ毎回参加してきた。例会の本来の目的は、技術監査についての情報交換と共に、監査人の仕事の進め方を学び、メンバーの資質のレベルアップを図るものである。

技術監査は、工事仕様書や工事図通りに工事ができているか、また法規や規則を準拠しているか、所定の手続きを経て工事が進められているかを監査するものである。きちっとした仕事の進め方をした工事は出来栄えもよく、逆の場合は出来上がったものも今ひとつというのが一般的である。

私にとって、この例会は技術監査の勉強になるだけではない。長年、個人で仕事をしていると、とかく自分に都合の良い仕事の進め方に慣れてしまう。その点、この例会では経験者の視点をもとに、監査だけでなく日々の仕事に取り組む姿勢についても話が出るので、ハット気付かされることもよくある。

この例会で学んだことを自問自答して、いわば自己監査していき、毎日きちっとした仕事の進め方で出来栄えの良い結果を出せることを願っている。

2015/2/21
新しい公共事業                    森田裕之  技術士(機械)

外国から帰ってきたときにほっとする感覚や、最近のTVでの外国人の日本経験の感想・コメントを聞いても、日本の社会インフラが世界的にみても,良いところにきているなという印象を持っている。

私は技術フォーラムが始まった頃から、新しい公共事業とはなんだろうと言うテーマに興味があり、そのうちフォーラムが、世の中に提案できるようになれればいいなと思っています。

最近流行のピケティの理論によると、資本主義の社会では、あらゆる格差が拡大すると言うことなので、弱者の子供と老人、病人を助けるインフラがニューシビル・新しい公共事業になると思っている。

私が学生の頃は、左翼思想が全盛時代で、頭の良い連中がソ連・中国・北朝鮮は、学校・病院・老人ホームは無料で、働く人の天国なんだと、留学したり亡命した同級生も居た時代だった。

ピケティ的に考えれば、彼らは順番を間違えただけで、資本主義で競争して格差が広がったら、勝者から税金で吸い上げて、弱者のインフラ・公共事業を盛大にやれば良いのだと思う。

2015/1/28
「中処」の考え方と「リスク管理」の考え方         堀尾佐喜夫  技術士(総合技術監理部門/衛生工学部門)

設計・施工・監理・維持管理分野における「もの決め」には、省エネルギー化の面では一見矛盾する冗長性も加味したプラス1の考えを取り込んで、各々での最適化を図ることが求められる。その際には「中処」なる考え方を以って対応するのも一法である。
「中処」とは、「混然として中処する」張載(中国・宋、1020〜1077)の古典書の「西銘」に述べられており、弁証法でいう(正―反―合)で、ある考え方(正)とそれに反対する考え方(反)があるとき、それら二つを足して二で割るのでなく、まったく新しく前進した考え方(合)であり、A案・B案・・・・・さらにn案の考えを生み出すのが中処ということであると解釈されている。
ここでA案〜n案を導き出す過程において、リスク管理方針の策定 ⇒ リスク特定 ⇒ リスクアセスメント ⇒ リスク対策といった一連のフローで構成する「リスク管理」の考え方を用いることが肝要で、@独創性のある新しい技術分野の確立、A環境への配慮、B既存技術の巧みな応用、C今後の発展への影響と波及効果、D社会への貢献度と実用的価値、等の内容を伴った濃密な案として成り立つことになる。
これらA案〜n案の内容を如何に高度化するかは、今後の継続研鑽にかかっていることはいうまでもないことである。

2014/12/17
未来をデザインする監査         室橋雅彦  技術士(経営工学部門)

「ISO19011(JISQ19011):2011 マネジメントシステム監査のための指針」は、品質マネジメントシステムや環境マネジメントシステムを代表とするマネジメントシステムの監査の指針を示す規格だが、いわゆる業務プロセスを監査する技術監査にも参考になると考える。
この規格の特徴としては、マネジメントの視点で業務プロセスが、計画・実行・評価・見直しされているかを第一者の立場で監査する(内部監査)ことを主眼においていることにある。
つまり、組織と業務プロセスの継続的な改善を目的とするマネジメントシステムの有効性を確認することとそのための情報収集を目的とする技術監査と方向性は一致していることになる。
注目すべき点として、「内部監査」に重きを置いていることがある。
この事は、監査の目的が、会計監査等のように外部に対して組織・企業の妥当性・適法性等を示すこととは違って、自らが自らの組織・企業の問題点を洗い出し、対応するための「監査」であることにあると考える。
しかし、監査の独立性・公平性の観点から、監査員は被監査組織の利害関係者であってはならない。
一方で、監査員として、被監査組織の業務(プロセス)に精通していることが必要とされる。
中小企業では、業務(プロセス)への専門性と組織への中立性の条件を満たす人材を確保する事が困難であることは容易に推測できる。
高い倫理観と専門性を持ち、証拠から問題点を導き出し、公正かつ正確に、信頼性及び再現性のある監査結論を経営層に報告することの出来ることが監査員としての力量となる。
マネジメントシステム監査(技術監査)を通して、レジリエンス*な組織・企業の未来を設計することを支援するのは、技術士のミッションの一つであると考える。

レジリエンス:変化や外乱の前、途中、後でシステムが自分の機能を調整し、それによってシステムが想定内、想定外、いずれの状況に対しても必要な動作を維持する事が出来る能力(出典:レジリエンスエンジニアリング 概念の指針、日科技連2012)
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ISOは組織対応の方法論なので、中小企業も中小自治体も似たような内部監査のやり方で良いだろうという主張は、判りやすい。(森田)


2014/12/3
定石はずれの効果          堀 美津晴   技術士(建設部門)

 毎月、多様な体験のある方々と囲碁の例会に参加している。しかし、才能もさることながら高齢化ため改善、進歩はなく、まさにインフラト同様にメンテナンスによる機能保全である。
 定石という用語は、囲碁の定石が基本であり、社会、事業活動によく使われている。この定石は先人の教えであり囲碁のみならず社会一般の共通理念である。
 事業活動の定石は、法規、要綱などに基準として実績もふまえて詳細に記述されているので、これらに準拠することが原則である。しかし、この定石を発展的に改善させる試みは、「定石はずれ」をすることによって進化、改善される。
 プロの棋士は、常に相手の期待をはずして進化している。
 都市の環境向上を目的として、歩車道分離型の道路の街路樹は、転倒防止のため二脚鳥居型といわれる支柱を設けている。この支柱は車道側に設けるのが「定石」であるが、最近は歩道幅員の確保、既設支柱の配置から判断して歩道側に設けることが出来ると「都の道路工事設計基準」に追記された.
 このように「定石はずれ」も進化されている。


2014/10/8
自然災害と防災・減災対策
                    保坂 義男   技術士(上下水道・総合技術監理部門)
 2014年8月20日に死者73名、行方不明者1名、負傷者44名の大被害を発生した広島市の土砂災害はどうすれば防げたのだろうか。被害が大きくなった背景には、土砂災害危険区域でありながら、土砂災害警戒区域に指定されていなかったことが一因とされている。
 日本は気候条件や気象、地質・地形の関係で土砂災害が起こりやすいと言われており、
「土砂災害防止法」は、1999年の広島市で発生した土砂災害がきっかけで2001年に施行されている。今回の広島市の土砂災害は、異常気象による降雨が山腹の崩壊を生じさせ、崩落した土石が雨水と一体となって流下した自然災害である。大惨事を引き起こした要因には、想定外の降雨量、山際まで迫った市街地開発、土砂災害警戒区域の未指定、避難指示勧告の遅れなどが重なつたためであろう。
 日本全国には土砂災害対策が必要な危険箇所が525,307箇所あると言われているが、2014年7月末現在までに「土砂災害防止法」の「警戒区域」の指定は354,769箇所、「特別警戒区域」の指定は205,657箇所に過ぎない。警戒区域には、市町村が地域防災計画を策定し、特別警戒区域には都道府県知事が警戒避難体制の整備や、特定開発行為に対する許可制及び建築物の構造の規制をすることが求められている。
 自然には予測できない変化があり、危険性を孕んでいる。技術士が専門的な経験・能力を発揮し、国や自治体の防災・減災対策に協力することは、住民の安全・安心を守るうえで極めて重要なことである。
 自治体の防災計画の技術監査で、警戒地域の指定が適切か、など、監査の対象となり得ます。


2014/7/17
「発注者のエンジニアリング」
                   藤田泰正(技術士;機械・総合技術監理)

ホンダやトヨタといった自動車会社は車を作る。部品の多くは部品メーカに発注して車を組み立てる。その時、自動車会社は部品に要求される性能を部品メーカに発注する。「部品Aは〇〇度〜〇〇度の間で使用し、〇〇の力を繰り返し107回受けた時の強度低下は〇〇%以内のこと」などである。この数値こそがノウハウであり、発注するときの自動車会社側エンジニアリングである。
これを受ける部品メーカのエンジニアリングは異なる。要求された性能を満足するため「鉄〇〇〜××%、クロム〇〇〜××%、モリブデン〇〇〜××%、の材料を用いて熱処理温度は〇〇度〜××度−−−」といった製造ノウハウを駆使する。これこそが受注側部品メーカのエンジニアリングである。
お互いのエンジニアリングは異なり競合しない。もし自動車会社が部品メーカの技術分野でそれを越えようとしたところで土台無理な話である。対象部品の製造に失敗した経験すらないのだから。
技術者の世界でも以外とこの部分が混同されているように感じる。大学工学部の教育カリキュラムも専ら受注者側のエンジニアリングに関するものがほとんどである。
NPO技術フォーラムの分科会として「発注者のエンジニアリング研究会」が作られた。ここでは要求性能や要求仕様を開発する発注者側のエンジニアリングについて技術や啓蒙活動などが議論されている。
役所が実施する公共建造物工事の技術監査を見ていると、やはり同様の印象を受ける。本来役所技術職の方々が磨き上げるべき技術は建造物が果たす目的のエンジニアリングであり、その改善結果データの活用によるノウハウ蓄積であると思う。ゼネコンなどの建築技術とは分野が異なるはずである。

2014/6/30 「委託業務と技術監査」
                  福冨弘幸 (上下水道部門)

最近、営業で地方都市を廻ると、窓口業務の委託が進んでいるのが目立つ。特に上下水道等の現業を扱う部署は、見た目に窓口イメージが変わって見える。
近年、コスト削減にかかる行政改革の一環で包括的民間委託と部署の統廃合が急速に進められている。このような外部委託の究極は事業の民営化であり、関西を代表する水道事業体が国内最初に民営化となるか注目されている。
 民間委託が役所直営の運転管理に比べ質が劣るとは言わないが、現場スキルが継承されていない民間スタッフの経験不足は否めない。さらに偽装請負という問題から役所側の細かい指示は憚られる。その結果、機場における僅かな勘違いとミスの積み重ねにより、非常時に大きな事故を引き起こさないとも限らない。また計画、設計・施工、管理・運営までの包括業務委託になると事業の運営はブラックボックス化してくる。
業務委託は地方自治法の規定に基づく包括外部監査で公認会計士等による監査が中心であるが、契約に関する文書とその業務項目の確認にとどまり技術的な中身に関するものは皆無ではなかろうか。
現場の状況を常にチェックし、基準にもとづく適切な管理が実施され最適な運営がなされているかどうかが重要である。ここに、大きな事故を未然に防ぐには業務委託における定期的な技術監査は不可欠であると考える。

2014/5/20
「プラスチックスとマグネシウム」
                 橋本 孜 (機械)

今から200年前に軽金属の代表であるアルミニューム(Al)とマグネシウム(Mg)元素が発見された。それから100年後にプラスチックスが出てきた。
今日多く用いられている、ノートパソコン、携帯電話、デジタルカメラなどに、軽くて丈夫なプラスチックスやマグネシウム合金が沢山使われている。
鉄の比重が7.8、アルミニューム合金が2.7、マグネシウム合金が1.8、そしてプラスチックスが1.0前後で一番軽いが、剛性、放熱性、電磁波シールド性において優れたマグネシウム合金が多く使われるようになってきた。
石油資源の枯渇が目前に迫ってきているのに対して、無尽蔵にある海水から作られる
マグネシウムは、これから期待しうる資源といえる。
マグネシウムはカルシウムと共に人間の細胞に無くてはならないミネラルの一つであり、海藻、魚、大豆および玄米に多く含まれている。心筋梗塞、糖尿病、アルツハイマー病
予防に効果の高いマグネシウムを大いに摂取したいものである。


2014/4/14
「ビオトープの庭から見た技術監査」   
                   野本優人(総合技術監理部門、建設部門)
自宅の庭はビオトープの手引書を参考に造園した。
庭の管理は嫁が行っていたが、体調を崩し、できなくなった。
庭の樹木が生い茂った。夏の強い日差しを遮り、少々風があればエアコンなしで快適に過ごせた。
でも、そう思ったのは人間だけではなかった。いつの間にか、トカゲが2種(ニホントカゲ、ニホンヤモリ)繁殖した。トカゲは傭兵となって、ダンゴムシや壁に止まった虫を食べてくれた。
さらに、この2年間で3回ほどフクロウが飛んできた。
若い頃、シマフクロウを春国岱(しゅんくにたい)で調べていた。シマフクロウはとても大きくなる。大木の枝に小学生(低学年)が腰かけているほどのサイズになる。あの頃の成鳥が生まれ変わって、会いに来た。「ニムオロ原野に戻っておいで」と鳴いているようだった。
ビオトープはよいことばかりではない。油断すると、ニホンヤモリが部屋の中に入ってきた。正直、びっくりした。
アオダイショウが木に登ったこともあった。長さを測ると1.30mあった。体が臭いので、火ばさみで捕まえようとしたら、力負けした。アオダイショウは大人気で、近所の人たちが集まった。
このように、自宅の庭はビオトープ化によって、いろいろな生物がやってきた。
しかし、人間の好む生物ばかりが集まるわけではない。
前もって、嫌いな生物や予期せぬ生物が寄ってきた時の対応を決めておく必要がある。その方が後でうまくいく。
監査も同様なことが言える。
当会は技術士の専門集団が第3者の立場で、いろいろな角度から、見落としがないように調査する。そして、組織にとって有益なこと不利益なことなど、あらゆる面を考慮しながら、評価や助言に反映させ、総合的な見地から質の高い監査になるよう心掛けている。それでも予期せぬことが起こる。
それに備えて、月例会でケーススタディーするとともに、当NPOが組織をあげてフォローする仕組みになっている。
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原田敬美です。

ユニークな視点で、面白い主張で、かつ、監査活動に結論を誘導し、読みごたえあるコラムです。

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森田裕之です、「長さを測ると1.30mあった」は130mmではないか?

森田さま

1.3メートルです。 長く伸びた時、ブロックの個数から測りました。


2014/4/14
「私の視点」投稿原稿
2014.4.10.   奥野浩智
「STAP論文」問題の報道姿勢

小保方晴子氏がFirst AuthorであるSTAP論文の「疑惑問題」が、連日ジャーナリズムを賑わせている。
「STAP細胞の存在問題」については、世界の研究者が自発的に行う数多くの再現実験の結果によって結論が出る、という真ともな論調がようやく出てきた。
しかし「論文の不正疑惑問題」については、小保方氏の記者会見を、朝日新聞では紙面第1頁トップで扱い、しかも、あたかも科学的に重大な事象、現象を取り扱っているが如き報道態度である。
この「論文の不正疑惑問題」の核心は、世界の関心を集めたNature誌2014年1月30日発行の「Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency」論文が、科学論文して認められるものであるかどうか、また、世界の学界常識から見た、このことに対する投稿者の対応はどうあるべきか、という事にある。
先ず、この論文が科学論文して認められるものであるかどうかについてであるが、理研の最終報告で不正とみなした2点については、小保方氏側も認めており、それが不注意であれ未熟に寄るものであれであれ、根幹の証拠に不正なものが含まれている論文が、科学論文して認められるものではない事は自明である。

次に、小保方氏側の不服申立てでは、「捏造とされた写真は取り間違いであり真正な写真は存在し、2014年2月9日付でNature誌に送っている」と説明しているが、これは何の意味も持たない。
一体、申立者は、Nature誌がその真正とする写真を受け取り、2014年1月30日発行の「Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency」論文の写真と差し替え、それを科学論文して認められるものにする、などという事が有り得ると考えているのだろうか? 
もしそんなことが有り得るなら、先発見、先発明の功のため、仮の証拠での論文を投稿し、受理されてから真正証拠を送り差し替えて貰うという事が起こるだろう。
Nature誌が、その様な自らの権威を貶すことになる行為を、投稿者に許す訳がないのは、これも自明である。とすれば、他の共著者が表明している通り、科学論文して認められない論文は一度取り下げ、真正な証拠を用いて新たな論文として投稿しなければならないことは、これも自明なことである。

この様に、この問題の決着は既についている。理化学研究所の研究論文の疑義に関する調査最終報告、それに対する小保方氏側の不服申立て以降の、「これは悪意の行為である」、「いや悪意(一般社会での)はなかった。未熟ではあった」、「STAP細胞はあると信じる」、「論文は取り下げない」等との報道は、もはや科学的な現象、事象の議論の報道ではない。
当事者の面子、地位保全などに関わる訴訟的興味報道であって、紙面第1頁トップを飾るような問題、事象では全くない。

2014/3/26
「5W1Hの企画書」
西角井造(技術士 経営工学部門、一級建築士)

以前のこと。「マンションの倉庫の適正な広さを定める公式ができないか」との問い合わせを受けて悩んでいるスタッフから相談を受けたことがある。仕込みの企画段階で必要面積を確保しておかないと、収支との兼ね合いで、いつの間にか売り場面積としての専有部に振り替えられてしまうというのだ。これでは、交換用の管球、清掃用具、溜まっていく書類の保管など管理面で苦労することになる。後々のことも考えた、良識的なディベロッパーの技術者からの相談だった。
その時私はスタッフのA君に、「5W1Hで考えてみたら」とアドバイスした。しばらくして、そのスタッフが持ってきたA4-1枚の企画書には、以下の様なことが書かれていた。

・Why なぜ(目的) 管理で苦労しない収納スペースの確保
・What 何を(対象) マンションの倉庫の広さ
・Who 誰が(主体者) スタッフA君
・When いつ(納期) 2週間
・Where どこで(範囲) 首都圏
・How    どうやって(手法)築年数と規模を3段階に分けたマトリクスにより、条件のことなる9件の建物を選び「倉庫の使われた方」を把握。その上で仮説を立て、公式化を試みる。

はたして彼は、納期2週間でクライアントの要望する公式を導き出すことができた。5W1Hは昔から使われているフレームワークだが、頭の整理に都合がよい。必要十分条件を満たしてくれる。使い古されたようなフレームワークが、実は一番効果的であるという事例だろう。

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原田敬美です。
設計方法論の一つのサンプル紹介です。
思考方法について示唆に富む内容と思います。


2014/02/06
「監査が明るい社会を創る」
 原田敬美(NPO地域と行政を支える技術フォーラム理事長、前港区長)

 監査、特に技術分野など専門の監査の必要性とその効用を私は唱えている。適切な監査により明るい社会が創られるという主張だ。
ニューヨーク市が1975年財政破綻した。白人でハンサムな直前のリンゼイ市長の黒人や貧困層への人気取り政策で税収を無視した過剰な歳出が増えたのが原因の一つだ。
ニューヨーク市立大学の学費を無料にした結果26万人の学生数となった。当時の大学の授業料を2000ドル、1ドル360円とすると授業料合計は1兆8720億円だ。
歳出規模は膨大だ。財源の根拠はない。過剰サービスの結果、次期市長の時財政破綻。市長は謝罪。その間、放漫な財政運営をチェックできなかった監査委員の謝罪はない。
破綻への道は時間がかかる。ダムの一穴と同じ。その間、監査委員が適切に、かつ、厳しい監査意見を出せば、破綻は免れた。
 日本でも夕張市の財政破綻、企業の不祥事、組織の不祥事が頻繁に報道されている。その都度トップが謝罪をする。本来、監査役も同罪か、場合によりトップより責任が重い。
港区長を務めた際、不適切な設計、過剰積算、全校児童30人教職員42名という小学校の存在を放置、区民税滞納23区最悪、といった重大課題に監査意見書はなかった。
区長自ら課題解決に立ち向かった。監査意見があればなー、フーッとため息。特に専門分野はブラックボックスだ。技術士が監査に参加することで明るい社会創りに貢献ができる。
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森田裕之です、読みました、良いと思います。

不祥事の逆のケースで、今回の小保方晴子さんのような、常識を離れた発想の研究テーマに、お金を出さないのが専門家の監査の常識でもあるんだよね。


「電気の技術監査人は見えない電気をみている」       高木育巨(技術士、電気電子部門)

 監査にあたっていろいろな資料が貸与される。膨大な資料である。
機器の寸法から、盤面器具まで詳細に記載されている。配線ケーブルのサイズから長さまで詳細に記載されている。
実施設計も完了していない時点で、こんな資料を作るのは並大抵の作業ではない。
大変な努力に敬意を表する次第である。
これに対する監査の作業量も膨大なものになるが、実は、電気の監査ではもう一つ大きな作業がある。
電気そのものの監査である。
電気というものはとても恐ろしい。
特に高圧設備の場合、感電事故は死亡事故につながる。
しかも電気は見えない。監査資料との照合では何の問題も無くても、あるモードにおいて高圧電源が目の前に現れる可能性もある。
勿論、各種の安全装置は付いている。しかし、絶対に壊れない安全装置は作れないし、絶対にミスをしない人間もいない。
これに対して電気は自然の摂理に従って冷酷に反応する。どのようにこの危険を回避しているのであろうか。
実は我々電気の技術監査人は、電気設備だけでなく、その裏で展開されている電気そのものの挙動をしっかり見て、安全性の確認を行っている。
安全に対する完全な仕様書はない。
あるのは自然の摂理のみである。
我々はこの見えない電気をしっかり見て、自然の摂理を監査仕様として、安全性の確認をしながら電気の監査を行っている。

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森田裕之です、読みました。

話は違うけど、地震災害の後の火災は、地震で緊急ストップした電源を入れたときに断線した所がショートして起きると、記憶しているけど、断線してたら電源が入らない、安全装置が働かないのかねえ?
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高木です

 森田さんの疑問の「地震災害の後の火災は、地震で緊急ストップした電源を入れたときに断線した所がショートして起きると、記憶しているけど、断線してたら電源が入らない、安全装置が働かないのかねえ?」については、もちろん電源を入れても安全装置が働いてブレーカーが飛びますので電源は入りません。一般的な考えとしては全く問題はありません。

 しかし、災害が起きているのですから保護装置だって壊れてしまっているかもしれません。壊れていたので火事になりました、では済まないでしょう。まして人身事故などは絶対に起こしてはならないでしょう。このコラムではそのことを指摘したかったのです。

 我々は保護装置が付いているから安全とは考えません。すべての機器は壊れるものとして考えます。人間はうっかりミスをするものだという前提で考えます。インターロック、フェイルセイフ、フールプルーフの設計になっているかどうか徹底的に調査します。
しかし、現在の監査資料からはこれらの情報はほとんど知りえないのです。

 保護装置の多重性、独立性についても検討します。あまり知られていませんが、福島第二が福島第一より被害が少なかったのは、福島第二では非常用発電機の1セットだけは高所に設置されていたので、津波でも発電出来た為です。これが保護装置の独立性です。

 私は、電気の監査において、現在のような膨大な監査資料でハード面だけ監査して事足れりという監査方法には疑問を持っています。まして、建築付帯のような形での監査では十分な監査はできないと思っています。

 実は、原発事故を調査してみると、日本のトップクラスの技術者の集団でありながら、電気専門家がほとんどいなかったようです。いなかったと云うより、ほとんど議論に参加していなかったようです。みんな、専門性が高いだけに電気は当然来ていると考えて原子炉の事ばかり論議していたようです。我々の監査もこんなことになってはならないと考えています。

 私は役所の発注者に電気の監査の重要性を認識してもらい、電気の監査を独立して発注してもらうための資料になればと思ってこのコラムを書きました。

 長くなってすみません。


「私達の暮らしとゴミについて」    東海林伸篤(一級建築士)

 現在、我々が享受している快適で便利な暮らしは、大量生産・大量消費をベースとした社会構造により支えられています。大量消費の背後には、大量のゴミの発生がありますが、私達は日々の暮らしの中で、どれだけこの問題に対し深く向き合おうとしているでしょうか。

 都心部(東京23区)の家庭等から出るゴミ(一般廃棄物)※1の処理は、現在、23区が組合をつくり処理を行っています。平成24年度に出されたゴミの総量は約283万トン(古紙や空缶などの資源ゴミを除く)。実に、東京ドーム約7.5杯分であり、このうちのほとんどが焼却処理され、その焼却灰の多くは、東京湾内に埋立て処分されています。

 日々家庭から出るゴミをどうするかという課題に対し、近年では、埋立処分場の延命化(ゴミの嵩を減らす)を主な目的※2として、焼却灰を高温で溶かしスラグ化する処理(溶融処理)が行われてきました。灰を高温で溶かしスラグ化することで、容積が灰の1/2に、元のゴミの状態からは1/40になるのです。2006年にはコンクリート用及び道路用の骨材として溶融スラグのJIS規格が制定され、アスファルト舗装材や路盤材などへの活用が進められてきましたが、思うように活用が進んでいません。

平成27年度を目途に焼却灰の全量溶融が目指されてきましたが、1200度以上の高温で灰を溶かすという溶融処理技術自体がまだ完全とは言えず、焼却灰のうち半分以上が溶融処理できずに埋め立てられています。さらに溶融スラグの利用先の約9割を占める東京都の地盤改良材として利用が、平成28年度以降終了する見込みであり、今後、スラグの有効な利用先(有効利用量)の大幅な減少は避けられない状況です。

焼却灰の溶融処理には、大量のエネルギーを使用し、また溶融炉の耐火物の補修なども含めて多額の維持管理コストがかかります※3。せっかくお金をかけて作った溶融スラグの活用先が十分に確保されていないことも一因として、結果、23区では溶融処理の縮小化に向けた見直しが図られている状況にあります。

家庭から出たゴミが、最終的に、再利用されずに埋めてられるという状況に対して、溶融スラグを“活用”した新たな製品開発や使用先(販路)の拡大は不可欠です。また一方では、溶融処理技術の向上も必要です。

焼却灰の処理については様々な課題がある中で、そもそもゴミを出さない社会的な仕組みづくりが切に必要である状況に変わりはありません。地球上の 限りある資源をゴミにせずに、川上から川下までの一貫したかたちで、可能な限り有効に活用できるように、産官学民で協働し、不断の努力で改善していかなければならないのです。

※1.廃棄物は国の法律により、市区町村が処理責任を負う「一般廃棄物(主に家庭や飲食店等から出るゴミ)」と事業者が処理責任を負う「産業廃棄物(企業の事業活動により発生する廃棄物)」に区分されています。平成25年版環境白書によれば平成23年度の全国における一般廃棄物の総排出量は約4,539万トン、産業廃棄物の総排出量は約3億8,599万トン(このうち53%の約2億671万トンは再生利用。)となっています。

※2.焼却灰の溶融処理により、灰中の希少金属を回収することも可能となります。平成22年の溶融メタル売却金額は23区で約6億円。

※3.23区の溶融処理経費は、平成22年度で約78億円となっています。
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原田敬美です。
コラムの趣旨を月例会で説明したいと思いますが、できるだけ、ユニークな見解、他人と異なる独自の見解を出していただき、へー!こんな考えもあるんだ、こんな現実もあるんだ、といった内容にしたいと思います。
東海林さんの、個人の見解、世田谷区での取り組み、東海林さんとしてどのようにゴミ減量に気を配っているか、等、多少加えていただけるとよいと思います。
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森田裕之です。
ゴミ原料の溶融スラグの内容の分析がどうかというのが、重要じゃないかね?
スラグの応用製品は、ゴミを閉じ込めているわけじゃないと思うので、内容を表示して、公共施設の建設資材として、利用しているんじゃないのですか?
「異端の人」    
平成25年10月24日
菅野淳(技術士、情報工学部門)

歴史上の人物で異端の人といえば、平将門、織田信長、坂本竜馬等が真っ先に挙げられる。政治家では、田中角栄、小泉純一郎、小沢一郎等があり、実業家では海賊と呼ばれた出光佐三、経営の神様の松下幸之助、ビジネスイノベータの孫正義などが思い浮かばれる。私の専門の情報処理分野では、池田敏雄氏、嶋正利氏、坂村健氏を挙げる。

池田敏雄氏は富士通社員でコンピュータ開発のパイオニアであった。1964年にIBM大型計算機に対抗してICを用いたFACOM230-60を完成させた。NHKのプロジェクトXでも紹介されたが、遅刻、無断欠勤の常習犯であったが、自由奔放に才能を発揮させ、1970年には富士通をコンピュータシェア1位とさせ、1974年に51歳で急逝している。スタジオジブリ作品で話題の「風立ちぬ」のゼロ戦開発者の堀越二郎氏を思い出させる。

嶋正利氏は電卓メーカのビジコン社員であったが、1969年にインテル社に派遣され、ここでテッド・ホフ氏と共に世界で初めて4ビットマイコン4004を開発した。子供の頃のけがで 右手が不自由であったが、その後リコー、インテル、ザイログで16ビットマイコンを開発した。1997年、京都賞(先端技術部門)を受賞した。

坂村健氏は国産OS「TRON」の開発者で、現在東大教授である。
1980年代に日立、東芝、NTTなど大手メーカを巻き込んで、リアルタイムOS,TRONチップ、応用システム開発を手掛けた。1990年ごろの日米ハイテク摩擦にBTRONが取り上げられ、マイクロソフトのMSDOS,Windowsにとって代わられた。コンピュータ業界の中枢に入り込んだが、外圧に負けてしまった彼をラスプーチンと呼ぶ人がいた。

彼らに共通するのは、従来の考えにとらわれずに、自分の信念を貫き通したことである。コンサルティングのコツとして常に対極から考え、メーカの立場であれば、ユーザ側からの意見を言い、一つの案が提示されたら、その案とは別のカウンタープロポーザルを示すことがコンサルティングの仕事に繋がる。監査の仕事も従来からの工事内容、技術内容を踏襲しながら、新しい視点で監査提言をしていくことが、顧客である監査事務局の信頼を得ることに繋がるのであろう。


「目的思考とゼロベース」で考えてみたら
平成25年10月8日
宍戸利彰(CVS:国際認定バリュー・スペシャリスト)

VE(バリュー・エンジニアリング)という言葉は、多くの人が耳にしたことはあると思います。しかし、具体的にどのような技術であるかをよく知っている人、ましてや実際に経験したことがある人となると、企業でVE活動に携わる立場の人などごく少数に限られるのではないでしょうか。
VEとは、対象となる「もの」や「こと」を、その目的を追求し本質を理解することから、現状に替わる目的達成方法をゼロベースで創造しようという考え方と実践技術なのです。
VEは、企業のさまざまな製品やその製造工程、また公共・民間による建設事業などの計画・設計や改善に使われることが多いのですが、その活用範囲はこれらにとどまりません。企業の業務や経営そのものの改善、あるいは社会、経済、教育その他改善や合意形成が必要な問題など、VEをやってみる価値のある分野は無限といってもよいのです。

一例として、東日本大震災後の遅々として進まない復興事業への適用が期待されます。
大被害を受けた地域の再生計画での計画案の創出とそれに至る地域住民の合意形成には、VEのように目的の認識を共有することが大きな効果を持ちます。その他いろいろなインフラ、施設の再建、統合などVEが力を発揮できる多くのテーマが考えられ、タイミングよくVEを活用していれば、現在にいたるまで復興が目に見えては進まないという状況も、少なからず違っていたのではないかと思われてなりません。
残念ながら、安全が証明されているガレキすら受け入れない自治体に巣食うNIMBY(Not In My Back Yard:結構な話だけど他所でやってくれという自分勝手な人種)達だけは、VEバカを自認する私も、VEで変えられる自信がありませんが。(笑)

■シニア技術者の時間の使い方■

                      2013年9月25日
 佐藤 修 技術士(建設、総合技術監理)

 日本人の平均寿命は世界でトップクラスになり、企業の定年と年金支給も65歳というところまできた。今後も少子高齢化が進むことから公的年金を勤労世代の負担で賄うのが大変になり、年金支給年齢の繰り下げや支給額の削減といった議論も出ている。健康に働ける技術者は定年後もペースを落としつつも仕事をしながら、長い第二の人生を送ることが必要となる時代に入っていると考えるべきであろう。これまでに蓄積してきた技術・経験・知恵を社会で生かしていくための様々な取組み・工夫がさらに求められている。
 高齢者の増大が一層進み子供たちの安全な環境が損なわれるなど、地域社会を健全に維持していくためのきめ細かなサービスが求められている。自分の居住する地域社会での役割も期待される一方で、地球の一員として貢献していくことで日本の存立基盤を保っていくことも重要である。仕事とともに、余暇、家族や地域社会への貢献のバランスをとりながら如何に充実した人生を送るかが知恵の絞りどころとなる。
 一層グローバル化する地球空間で日本という国がさまざまな国の人たちから認められて生きていくために、これまでに蓄積した技術・経験を生かして、退職後の元気で活動できる期間をそれら時間に割いていくことも大きな役割と思う。それには、培ってきた技術・経験とともに相手との言葉・文化の違いを乗り越えたコミュニケーション力が不可欠である。発展途上国での会合などでは、欧米のシニアの活躍状況に目を見張るものがある。海外で活躍する日本人も多くなってきているが、他国とのやりとりの経験・蓄積ではまだ欧米に後れをとっているようだ。
 自分磨きと社会貢献を実践する人生の第2ステージの活動の場として、資源小国・技術人材大国の日本の技術者として、多くのシニア技術者にこれらの場に積極的に参加してほしいと思う。


「公共事業の維持管理」
平成25年9月4日     坂本 文夫 技術士(建設)

高度経済成長時代以降、整備した膨大な社会資本ストックは劣化が進行し、特に首都高速道路の道路橋については老朽化が著しく、大きな社会問題となっている。
建設後50年を経過する社会資本の割合を道路橋で見ると、平成8年度では6%であったものが平成28年には20%まで増加し、平成36年には47%に達する見込みである。
以上の状況下では、「高齢化した社会資本」の維持管理・更新が必要で、それも戦略的な維持管理・更新が求められている。    
 我が国の財政悪化が進行する中で、公共投資が毎年のように減額されてきた。
このように、公共投資の減少が毎年続くようになると、当然ながら社会資本の維持管理は後回しになり、その間に道路や橋梁の経年劣化が進行し、やがて使用することができなくなる日が来る。この状況は、1980年代の「荒廃するアメリカ」と酷似している。
最近、アメリカの高速道路で起きた橋梁落下事故の状況は、記憶に新しいところである。
このような事故が発生した背景は、1970年代のアメリカは財政が苦しかったこともあり、社会資本の維持管理費が大幅に削減されていた。
1980年代に入ると、社会資本の劣化がさらに進行し、いたるところで道路や橋梁の損傷が激しくなった。
こうした状況から、「荒廃するアメリカ」と呼ばれるようになった。
その状況はアメリカだけでなく、我が国でも維持管理不足による大きな事故が発生した。
2012年12月に発生した中央道笹子トンネル上り線の天井崩落事故がそれである。
今後は財政上の問題もあるが、社会資本の耐用年数を延伸するための対策として、必要な財源を確保し、対象物の点検を推進する。
その上で予防保全対策を早期に実施し、ライフサイクルコストの低減を図り、国民の安全と利便性を確保することが重要である。
東日本大震災や笹子トンネル事故の発生以前は、長い間にわたって公共事業=「悪」とされた時代が続いたが、その後は公共事業=「必用」であることが認識されるようになったのは、時代の変化なのかもしれない。

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坂本君は、世間が公共事業を悪とみなした時期があったと認識しているようだが、当時彼が業者の一員だったから、そういった印象(ひがみ)を持ったと思うが、私は当時のマスコミが公共事業が、政治家のもてあそぶ所となったので、問題視していたとは思うが、世間の人は公共事業自体を悪とは捉えていなかったと記憶している。

資本主義の社会では、償却とか寿命と言う概念があって、設備は一定の期間(寿命)に価値を減額していくことになっている、役所は会計経理の基本を、社会主義的な運営をしていたけど、最近資本主義的に運営する方向に向かっているようなので、事故が起きなくても、坂本君の言うようなメンテナンスや更新が行われるようになると思います。
森田裕之

「少子高齢化社会への不安」
平成25年8月25日     久保 眞介 技術士(建設、総合技術監理)

標記に関しては、この10年来多くの学者、専門家及び評論家から来るべき少子高齢化社会の「未来予測」が指摘されてきている。以下がその結論である。即ち、
1.2030年ごろまでに、年金受給者を支える現役の勤労者の総数が確実に減っている。そのため年金原資(注 現役勤労者から徴収する)が大幅に不足する。

2.その対策として以下のような方法が提唱されている。
 ア.将来の年金支給額を減額する。
 イ.支給開始年齢をさらに引きあげる。
 ウ.厚生年金保険料率をも引き上げる。
上記以外は現実的な解決策は見当たらないように思える。

然しながら、これを実施した場合の影響(反動)は極めて大きいといえる。即ち、年金原資の支え手である将来の勤労者にとっては、高い保険料を納めて(とられて)、しかも存命中にどれだけの年金がもらえるかどうかは全く不明である。従って不安感が増大する。
この問題に対して民主党政権を含む歴代政府は、長期的・抜本的な政策を国民にいまだに提示し得ないでいる。社会保障費を捻出するために、曰く、「国家財政のムダを省く」、「不要不急の出費を控える」等々の抽象的な意見はこの際何の解決策にもならない。欧米の福祉先進国においても、日本と同質の深刻な問題を抱えており、どの国もこれの抜本的な解決方法を見いだせない状況にあるようだ。
現行年金制度を維持するための方策としては、消費税率を上げこれを目的税として使用する以外に現実的な解決策は見当たらないように思える。

「朽ちる水道」
平成25年7月23日       高堂彰二 技術士(上下水道部門、総合技術監理部門)

  日本初の近代水道は、明治20年(1887年)10月17日に横浜で給水が開始されました。近代水道とは、池や川の水をそのまま飲用するのではなく「沈殿・ろ過」などの浄水処理を行い、自然流下ではなく「ポンプ圧送」により送水し、石や木でできた管ではなく「鉄管」によるものを使用することを指します。
平成23年度(2011年度)の日本の水道普及率は、97.6%、東京都の水道有収率(給水する水量と料金として収入のあった水量との比率)は95.8%と世界一の水準であり、水道の蛇口から出る水をそのまま飲める国は世界にいくつもありませんが、日本では全国どこに行っても水道の水は蛇口からそのまま飲むことができます。
 ところがそのあって当たり前のような日本の水道が、今後どうなるかわからなくなっています。
 一つは、日本の人口が今後減少していくことにあります。平成22年度(2010年)に日本の人口は1億2,806万人でピークとなりましたが、それ以降減少に転じて100年後には4,000万人程度となると予測されています。これは、明治初期の日本の人口と同じ位です。
 水道料金は、独立会計で利用者の水道料金で賄っています。ところが、前述のように今後人口が減少していくにしたがい水道料金が減収となり経営上問題となることが予測されています。
 二つ目は、30〜50年前に埋設した拡張時代の水道管は、大量に更新時期を迎えていますが、ほとんどの自治体はその費用を積み立ててはおらず、特に過疎地の簡易水道ではとてもそこまで手が回らないのが現実であり、計画的な更新がなされていません。
 三つ目は、今後10年で50歳以上の水道従事職員(全体の47%)が大量退職するため、技術の継承が大きな問題となっています。
 この他にも、東日本大震災を踏まえた危機管理対策や、水道水源の水質の変化への対応等など想定される困難な課題があります。
 このままでいけば、近い将来日本の水道の水は飲めなくなり、水道管からの漏水も多くなり、水道経営も水質の安全も保障されない日がくると思われます。
 このようなことにならないためにも、30〜50年先を見据えたビジョンを各水道管理者が独自に持つ必要があり、そのような水道ビジョン作りや、要所要所での技術監査は、私たちプロの技術士集団の「技術フォーラム」がきっとお役に立つことができると思います。
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森田裕之です、読みました、良いと思いますが、3つの問題点の解決案は、具体的にあるんでしょうか?

平成25年6月21日
モンゴルで思ったこと         技術士(上下水道部門、総合技術監理部門)  金川 護

私は6月3日から8日まで日本技術士会上下水道部会の研修旅行でモンゴル国の首都ウランバートルに行った。ウランバートルは四方を山に囲まれた盆地で、山から地下水が流れて来るためか、薄緑の草原が広がった大平原である。中心部は高層ビルもある都市で、人口はモンゴル全体の270万人の内130万人が集中している。中心部の周りには遊牧民の住むゲル地区があり、沢山のゲルに人々が住んでいる。もちろんゲル地区から中心部のオフィスに通勤している人が多く、朝晩の交通渋滞は、中国や東南アアジアの大都市と変わらない。乗用車は日本製の中古車が多いが、韓国のヒュンダイもかなり多い。バスは殆どヒュンダイ、トラックは日本、ヒュンダイ、ベンツなどである。
上水道は山に近いトール川の上流部の伏流水を取り、全て地下水であり、塩素滅菌して供給している。都市部の住人は一人1日200リットルの水道を使用しているのに対し、ゲルの住民は7リットル程度である。町の中に水道水を売る水道ステーションがあり、ゲルの住民はそこまで車で来て水を買い、ポリタンクに詰めて持ち帰る。オートバイは殆ど無いが、車の普及率は高い。
下水処理場は5か所あり、全体で1日20万トンの下水を処理している。産業として皮革製造とカシミヤ織があり、その工場排水が下水に直接流入するため、下水の水質は日本の2倍位汚い。したがって処理は悪く、白っぽい水が処理水として放流されている。BOD除去率は75%程度である。
ウランバートルはもっと砂漠化していると思ったが、草原であった。中心部を10qも離れたら、大草原で人はおらず、牛や馬、羊が草を食んでいる。
モンゴルの面積は156万平方キロメートルで日本の4倍である。降雨量は年間250oで日本の6分の1である。それでも、全モンゴルに降る雨は年間390億トンである。全モンゴル人が1日200リットルの水を使っても年間2億トンである。残りの水を上手く貯水できれば、そして、この大草原の半分でも耕地に出来たら世界人口が100億人になっても食料は十分足りるのではないかと思った。
                              
平成25年5月30日
橋下維新の会共同代表の発言問題      技術士(情報工学)   奥野浩智

ここ暫く、維新の会の橋下共同代表の発言が、話題となっている。野党の共同党首とは言え、国政の場に立っていない人の発言に、国内外のマスコミがこれ程取り上げるのは、正常な反応と思えない。不思議だ。
私は、それまで伝えられている彼の発言の内容、また5月27日の日本外国特派員協会での説明・受け答は、テレビ、新聞の詳しい報道から見て、至極まっとうであると思う。
実際、新聞(朝日、産経)が取材・報道している、そこに出席した外国人特派員の談話も、橋下発言の何がおかしいのか、何処が誤りなのかを明確に指摘したものはない。英国エコノミスト誌「・・・と聞こえた。理解しづらい説明だった。」、ドイツ紙フランクフルター「・・・今日の話では国際的に誰も納得しないし、政治家として失格だ。」、韓国JPニュース「韓国は橋下発言だけでこの問題を捉えているのではない。日本の右傾化、憲法改正の中の一つとして捉えている。」、米国AP、ウオ―ルストリート「当時の日本政府が組織的に売春を強いたことは否定し続けた、メデイアの誤報が問題と主張。」等々である。
28日の朝日新聞は、朝刊第2面全頁を使って「橋下共同代表は、懸命に釈明した、何とか失地回復したいとの思いがにじんだ。」との否定的ニュアンスでの論調、産経新聞では、「慰安婦問題で日本側から提起されてきた疑問や反論などが紹介される機会となり、世論向けには一定の"効果"があったとみていい。」との論調だった。

欧米でも、他国から異端と思われている幾人かの政治家の発言が報道されることがあるが、これ程の反発・非難で、大きく扱われることはないのではないか。何故なのだろう。
世界大戦、特に第二次世界大戦での、ドイツ、フランス、イギリス、ソ連、アメリカ軍の戦場での暴行・凌辱、戦後における慰安施設の利用について指摘され、各国が抗弁できず、異常反応を引き起こした、という事なのだろうか。その他の解説があれば、教えてください。
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森田裕之です、読みました、まっとうな疑問だと思いますが、猪瀬さんや石原さんは右翼・保守と言うレッテルで言行一致しているので、外国の新聞記者も、いつもの調子で記事を書いていると思うんですが、橋本さんはレッテルの貼りにくい「論理派」で、ケースbyケースに対応している政治家ですから、記者が自国民に説明しにくいのじゃないだろうか?

歴代の左派・村山が「悪うございました」とあやまり、右派・中曽根が「政府の関与なし」と突っぱねていたわけで、はっきりしていたけど、橋下さんは「君の国はやっていないの?」と論理的に突っ込んできたので(弁護士らしいけんかの仕方だ)、大騒ぎになったんだと思います。
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原田敬美です。
技術フォーラムの「技術」「監査」に関係ない分野ですが、内容は常識的なことです。
世の中、世界共通で、政治家、社会のリーダーが触れるのがはばかるテーマがあります。
そうした点で、いささか配慮の仕方の点で、橋下さんの発言の仕方は問題があると思いますが。


技術監査は厳正中立の立場 2013-5-16 青葉堯

中立の立場とは、誰もがわかっていることなのですが、形式上ではなく実質的に厳正な立場です。
日本技術士会に業務斡旋というのがあります。「古い勢力の人達に、業務斡旋を期待するところがある」(以下上記の期待)、と言われています。古い勢力とはどのような人達かを考えてみました。
50年前 技術士会では独立自営者が主導権を持っていた時代
この頃の人達は一言で言って颯爽としていました。独立自営の原点は、自分が業務開拓することですから、上記の期待をする人はなく、厳正中立の立場を具現化していました。
25年前 技術士会では会社員が主導権を持ちはじめた時代
非常勤会社員と独立自営者の区別が明確でなくなりました。上記の期待をする人もいました。
最近  技術士会には事実上会社員しかいない時代
現在、技術士会会員の殆どは「会社員」(官・公関係者含む)です。会社は65歳まで雇用することになり、以後、給料をもらえなくなっても、会社員の意識は続きます。
会社員は社業しかしませんので、上記の期待をする人は、事実上いなくなりました。
「古い勢力」もいますが、ごく少数です。
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森田裕之です、建前としてはこのとうりでしょう、現在の日本の組織の監査部門は、ほとんどが内部監査かその延長線上にあり、中立な立場の人・利益相反の無い人は居ない事になっていると思います。

公益社団法人日本技術士会の振る舞い

平成25年5月8日 技術士(建設、情報工学)岡 孝夫

  我々は技術監査をやっている。しかし、競争相手は民間にもいっぱいいる。
それは本来、良いことである。しかし、公益社団法人となった日本技術士会が工事監査の競争入札(事前見積合せも含む)に参加するのは、いただけない。
確かに、現在は自由競争の時代であるが、日本技術士会は会長名の印鑑を使って工事監査を受注している。公益者社団法人がこのような振る舞いをするのは、まずいのではないか?実際、我々のグループも日本技術士会の会員がほとんどであるが、日本技術士会には登録団体として届けていない。これは自由度の問題である。昨年この件で文句を言うと、1年間は競争入札には辞退したが、今回は登録団体を数グループ集めて、再開すると聞いた。また、日本技術士は競争入札に参加し、安い価格で落札するのだろうか?
  どうして、公益社団法人が競争入札に参加するのだろうか?確かに公益社団法人も50%以上の公益目的事業を行えばよいと法律上は定めているが、それ以外は何をしても良いのだろうか?法律は強制力を伴うので、必要最小限しか定めていないが、技術者倫理を提唱する技術士団体としてのモラルが必要ではないか?民間団体が行う一般の競争入札に参加するのは、公益社団法人の行為としてモラルに反すると思うが、いかがであろうか?実際、我々のグループは競争入札でもNPO法人理事長の印鑑で勝負している。いまこそ日本技術士会の姿勢が問われている。
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原田敬美です。
立派な主張です。
悪口ではありません。

当面黙っておりますが、似たようなことはあります。
建設コンサルタント分野で、UR(都市機構)、紛れなく国の機関です。役員は国からの天下りですが、様々区役所等に直接、激しい営業活動をかけています。

民間設計コンサルタントの立場からとすると、いい迷惑です。

実は、私の事務所でも困ったことになっております。
20年近く前、長年やっていた某区の仕事でURに仕事を持っていかれました。
今、某区でURに仕事を持って行かれつつあります。

区の担当者レベルでは、私のような事務所の方が、小回りが利いて使い易いと評判を頂きましたが。

URの実態は直接仕事をしないで、子会社やURと親しい設計コンサルタントに下請けに出すだけです。
程度の低いいくつかの区役所(特に区長の意識が低いと)は、URは国の機関だから安心と単純に隋契で発注します。
我々のような事務所にとり、いい迷惑です。

いずれ、アメリカの通商代表部の様な所から、政府機関が民間事業を積極的に取りに出るのはTPP、WTO等の精神に反するとお説教を言ってくると思います。
簡保が同様です。政府の保険会社では、民間の保険会社にとり、勝負になりません。アメリカ政府通商代表部からクレームが来ております。
アメリカの設計コンサルタントにも仕事の機会を与えろといずれ主張してくるはずです。

今、私個人がそれを発言すると、国交省全体と喧嘩することになりますので控えています。
本来は、専門家団体の技術士会、都市計画協会、建築家協会などが国交省やURに抗議すべきです。


整備監査と技術監査

  平成25年5月2日 技術士(経営工学)大坪 利行

 787の運航が再開されようとしています。原因は不明だが、対策は十分ということでアメリカの連邦航空局がOKを出したので、日本の航空局も追随する形です。

航空業界には「整備監査」という非常に厳しいAuditがあります。どちらかというとメーカーにおける「品質の外部監査」の強烈なもとの言っていいでしょう。航空機の品質劣化は即、事故に、すなわち人の命に関わるのでこの頻繁にして執拗かつ強烈な「整備監査」は仕方のないことかも知れません。内容によっては航空法違反となり、業務改善命令や運航停止処分というのもあります。監査というよりは取り調べという雰囲気のする時さえあります。787の運航が再開後は人命を守るために他の機種に比べて特に「整備監査」が必要でしょう。

「技術監査」では2度の陪席を致しましたが、この「整備監査」と「品質監査」の中間的な感じでした。地上の構造物や建築物が主体なので、直ちに人の命に関わりはしませんが、中央高速の中央高速道路の笹子トンネルの天井崩落事故のように長い年月の後に人の命を奪うかも知れないと考えると気は抜けません。

「会計監査」は使途不明金や脱税などを見抜くことが肝要かも知れませんが、所詮、罰金とかお金で解決できるものですが「技術監査」では手抜きや仕様違いなどを見抜き、もしあれば、厳しく指摘する必要があります。それだけ責任のある「監査」です。ただ、日本の建設業は中国やインドと違い確かな技術力を持ち、日本人特有のきめ細かな工事をしているので、作られたもの自体にはまず問題はありません。

しかし、今後は老朽化する橋梁、トンネル、道路など、第3者による診断は重要な業務となるでしょう。工事を行った直後や、工事中だけでなく、工事後25年とか35年とか、
まさに「整備監査」のような監査も地方自治体の787に相当するような構造物や建築物があれば監査の対象となるかも知れません。



ボストンのテロ事件でのチームプレイと行政の広報活動 2013年4月22日
原田敬美 NPO地域と行政を支える技術フォーラム理事長
4月15日開催された歴史伝統あるボストンマラソンでテロ事件が発生しました。幸い19日に残る犯人が逮捕され、まずは安堵です。アメリカに2度留学で滞在した経験から、ニュース報道を見て感じること2つあります。チームプレイと行政(警察)の広報活動です。日本にない方法です。
アメリカの治安維持の基本は、市長の指揮下にある市警察です。犯人が市外に逃走すると、郡の保安官(シェリフ)が対応します。さらに、逃送先の自治体警察が担当します。高速道路を使って逃げると州知事の指揮下にある州警察(ハイウェイパトロール)が対応します。今回のような爆弾事件は司法省指揮下の連邦捜査局(FBI)が担当します。
2人目の犯人が逮捕されたボストン郊外のウォータータウン市事件現場の報道写真を見ると、恐らく最前線はFBI連邦捜査官、援護に地元ウォータータウン市警察、郡保安官、ボストン市警察、それにボストン大学警察と書かれているベストを着用した警察官。大学は自治組織で治安も例外でなく、司法権を持つ大学職員としての大学警察官がいます。応援で駆けつけたのでしょう。
日本でニュースを見ると「警察」とありますが、アメリカの事情を知る立場から、連邦捜査局警察官、地元のウォータータウン市警察、州警察(ハイウェイパトロール)、マサチューセッツ州州兵(州にも陸海空三軍あります。州政府の軍隊)、郡保安官、最初の事件現場だったボストン市警察、応援のボストン大学警察等様々な組織の寄せ集め人間が現場に出動しました。
ここで感心させられるのは指揮系統、ガバナンスです。警察のような人命を扱い、危機管理をする組織で、全く異なる組織の人間が、一つにまとまり、任命された指揮官の下事件を解決しようと頑張る姿です。私はこれをアメリカの底力と見ます。
アメリカはよそ者歓迎社会です。スペースシャトルの打ち上げ実験でも、日本人宇宙飛行士を何人も仲間に誘いこんでいます。アメリカの大学は自校出身者を採用せず、他大学出身のよそ者を教授に採用します。公正確保、しがらみ排除です。会社も、社長含め幹部の多くを外から採用します。日本と全く異なる方式です。
技術の専門家を共通項によそ者が集まり連携を図り、大きなプロジェクトの実現を期待したいと思います。技術フォーラムの真髄です。
もう一つは広報活動です。現場で市長、州知事、市警察部長、州警察長官等がテレビの前で記者会見をし、状況説明を積極的にしてきました。日本には見られない姿です。犯人逮捕の直後、アメリカCNNの記者が逮捕現場のウォータータウン市警察部長に30分インタビューをしていました。お互いかけ合いで良い内容でした。小さな市ですから市警察の警察官は30人程度と思います。インタビューの中で、オバマ大統領からも州知事からも連絡があり、必要な資機材、人材は何でも提供するから遠慮なく言って欲しいと言われたそうです。大統領、州知事等リーダはこうあるべきです。
こうしたやり取りは、アメリカ行政の市民に知らしめるという広報の姿勢、小学校時代からディベイトで培った会話力に基づきます。日本ではこのようなインタビューはありません。40年以上前アメリカに滞在していた時からこのような報道を見てきました。これも日本の行政、政治家が学ぶべきことです。技術士も同様です。情報発信は大切なことです。
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岡です。
アメリカの知らない一面と思います。
私も何度かアメリカに行っていますが、住んでみないとわかないことが多いと感じます。
このようなことをぜひ皆さんに知っていただくことは重要と思います。
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原田敬美です。
コメントありがとうございます。

今回の事件を技術フォーラムとのたとえで見てみました。
100万都市のボストン市としても、数万人のウォータータウン市にしても、今回の事件は市役所警察にとり、恐らく最初で最後位の内容です。
その時、しっかり、チームプレーで、結果を出しました。

技術フォーラムに例えると、その内、1億円のコンサルタント業務が、恐らく、最初で最後と言うことで依頼されました、としましょう。
個性豊かな技術士が一致団結して、チームプレーで結果を出さなければなりません。
広報活動もしっかりやる必要があります。
私は、しつこいくらいに毎回しています。

「原田の言うことは聞かない」「俺に仕事を回さないからけしからん」「俺の配分金が少ない」…等、空中分解してはダメです。と言うことです。
技術士会のプロジェクトチームで失敗例の話を聞きます。そういうことが無いようにしましょう。

「エコアクション21と技術監査」
平成25年4月6日
大岩敏男(博士(工学)、技術士(環境))

この1年間にエコアクション21の審査人と技術監査の監査人のそれぞれを担当する機会を得ました。審査と監査では厳密には違いますが、事前に送付してもらった資料を確認して、ヒアリングや現地確認により審査または監査を行うという共通点があります。
エコアクション21とは、環境省のガイドラインをもとに事業者が環境に取り組む仕組みをつくり、継続的に改善(PDCAサイクル)していくためのエコマネジメントシステムです。どちらかというと中小事業者向けで国際環境規格ISO14001の国内版であり、認証事象者数も年々増加しています。
2年前まで勤務していた職場では、現在とは逆の立場でエコアクション21の審査を受けておりました。担当者として前回の指摘事項をクリアーして審査を受けると、継続的改善ということでまた新しい指摘を受けます。PDCAサイクルを頭の中では理解していても、ゴールが近くなったと思ったらまた新しいゴールが設定されて、果てしない取り組みがわずらわしく思ったことがありました。しかし、指摘された内容はもっともなことであり、考え方を整理して、新たな課題に取り組みました。
また、業務の担当者として監査を受けたこともあります。監査される側としては、どんなことでも指摘されたくはないので、緊張しつつも、内容を理解してもらうため、わかりやすい説明を心がけたつもりでした。
今後は、審査人または監査人の立場でエコアクション21と技術監査に関わっていきますが、審査や監査を受けたときを思い出し、相手の立場に立つ気持ちを忘れないで、言葉遣いなどにも気を配って取り組んでいきたいと思っているところです。

「1月は行く、2月は逃げる、3月は去る」
平成25年4月1日
今澤伸次 技術士(建設・総合技術監理)、一級建築士、労働安全コンサルタント

昔から「1月は行く、2月は逃げる、3月は去る」といわれていますが、早いもので、もう4月。
何をするにもよい季節になりました。(花粉症の方には、ごめんなさい。)新社会人になられた方々は、さぞかし希望に満ちあふれていることでしょう。
さて、「最近の若者は、何を考え、何を悩んでいるのか、わからん!」という声を時々耳にします。
確かに、突然、会話が友達言葉になったり、意味不明な略語を使ったりして、驚かされることがあります。
でも、電子機器への順応力はすごいし、結構ガッツがあるヤツもいます。アルバイトに来ていた大学生のことです。最初の頃はちょっと困惑する場面もありましたが、「こうゆう時はこうしてね」と言ってメリット、デメリットを伝え、「なんでそうした方がいいのか」納得するように説明をつけると、こちらが期待する以上にキチンとやってくれました。
今では大切な仲間の一人です。

厚生労働省のデータですが、ストレスで心が病んでしまう若者が増えているそうです。
仕事上の失敗や重い責任の発生、仕事の質と量の変化、人間関係など、学生時代にはなかったストレスが原因と思われます。
ベテランの先輩方にとっても、慣れない仕事をする新社会人のフォローにあたり、自分で仕事をこなす以上に、時間や手間もかかってしまうかもしれません。
でも、少しだけでもご自身が若かったころを思い出し、少しの間、見守ってあげて欲しいと思います。
希望に満ちた若者が、充実した環境の中で仕事に打ち込めるよう、職場における心の健康管理(メンタルヘルス)が大切です。


太陽光発電のレトリック
平成25年3月17日 伊藤 寛、技術士(機械・総合技術監理)、エネルギー管理士

拙宅に太陽光発電設備を設置して5年目に入ります。以前から、環境エネルギーの分野には興味があったので、太陽光発電を設置してから毎日発電量をチェックし、我が家のエネルギー供給にどれくらい効果があるものかと同時に、機会を捉えてはメガソーラー施設の見学会に参加して、太陽光発電の 実態を個人的にまとめてきました。ちょうど、3.11の大震災とそれにともなった福島第一原子力発電所の事故から2年になり、全量買取制度の施行によるメガソーラー施設の建設ラッシュや産業用太陽光発電設備の売り込み宣伝を見ると、太陽光発電に対する美辞麗句(レトリック)の羅列です。ここでは、私がこれまでに調べた太陽光発電の実態について、書いてみます。
 1.家庭用の設備もメガソーラ級の設備も取り付けの手間と効率は同じである。
 通常のエネルギー設備では小型と大型では大型の方が据付の手間も少なく、効率も高いものです。太陽光発電設備の場合、1枚180Wか200Wのパネルを発電量に合わせた枚数分取り付けますが、1枚を取り付けるには3名の作業員が必要です。すなわち、取り付けにあたっては、パネルを2人で支えて、屋根や架台に位置決めをし、別の1人が固定する作業を繰り返します。この作業は用の小規模設備でもメガソーラ規模でも同じです。また、変換効率も全く同等なので、大型化のメリットを期待できない設備と言えます。
2.発電量は1kWあたり約1,000kWhで、交流に変換される発電量はその90%程度である。
 日本国内では、緯度と気候による日照時間から、パネル1kWで年間発電する電力量は直流で1,000kWh(このことは、太陽光発電の説明書に小さな文字で書いてあります。)、また、交流変換後では900kWhが平均的な数値です。近年、直流・交流変換装置(パワーコンディショナー)の変換効率が上がってきたと宣伝されていますが、それはピーク出力時の数値であることが多く、確実に取り出せる交流電力は900kWh程度で、実に10%がロスになっています。
 なお、新聞の広告で産業用太陽光発電設備の宣伝とシミュレーションによる発電量と買取価格の試算がなされていますが、そこには、交流変換後の数値は使われておらず、また、パワーコンディショナーの劣化更新コスト(概ね10年で更新)が入っていませんので、注意すべきと考えます。実際に太陽光発電の運転状態を見ていますと、パワーコンディショナーほど酷使されている設備機器はありません。すなわち、拙宅の場合、元々パネルの公称発電出力に対して30%の余裕をもって選定されているのに、実際には0から60%の幅で使用され、天気によっては出力が急変することもあります。私の経験では、安定した状態で使うことが設備機器の寿命に最も重要な要素ですが、それからすると、パワーコンディショナーの寿命は長いものではないと確信します。
実際、パワーコンディショナーはメーカー保証は1年で、その後9年間はメーカーと設置業者が
保険会社にトラブル発生時の交換費用負担のための保険を掛けています。
3.性能検証が難しい。
エネルギー設備では、民間でも性能検証を求められることが一般的で、たとえば、自家発電設備や熱源設備では、夏季の一番温度が高い時期の発電量を計測・評価して、計画時の性能が確保されていることを発注者と施工者が確認します。しかし、太陽光発電設備では計画時の日射量、日照時間が実現できないので、性能検証は不可能です。このことによるのでしょうか、某電力会社のメガソーラー設備では、パネル枚数から計算される発電量と新聞等で発表されている発電量には約10%の差があります。公共工事において、もしもこのようなことが起こったら、監査で指摘されるべきものと考えます。
4.発電量の日間較差、年較差が大きい。
このことは、よく知られてはいますが、具体的にどの程度であるかは、ほとんど示されていないようです。私が調べた結果、出力に対し、日間較差は0から90%、すなわち晴れていても急に天気が悪くなると一気に発電しなくなります。また、年間を通した発電量の差異は夏季(6月がピーク)を100とすると、冬季(12月)は30で実に、3倍違っています。
5.パネルの不具合がわからない
パネルの不具合は外部からは全く把握できません。測定機器メーカーの中には、パネル表面を
非接触式の測定器でホットスポット的な部分を見つけて、不具合部分を把握できると説明しているところもあるようですが、戸建用の場合にはパネルは住宅地の屋根の上にあり、高所作業車がなければ屋根の上のパネルを調査することはできません。また、これは私の想像ですが、メガソーラーの場合には枚数が多いので、どの程度不具合を把握できるか大いに疑問です。
ゆえに、パネルの不具合を正確に把握するためには、パワーコンディショナーを含む設備一式について、毎日発電量のデータを採取し、週報、月報、季報、年報を作成・評価して、複数年のデータを検証し、発電傾向に変化があった場合に、メーカーの専門家を呼んで、どこに不具合が
あるかを調査することになるでしょう。つまり、他のエネルギー機器に比べ、実に手間がかかる可能性があると考えます。
6.設置工事の安全対策
 特に、戸建用においては、零細な施工業者が多いため、取り付け作業時に足場を組まないケースがあります。実際、拙宅の施工業者に聞いてみたところ、「これまで3人落ちた」と言っていました。これはゆゆしき問題ですが、昨今の世の中の、「太陽光発電は最高善」という風潮の中では、新聞などで取り上げられることはありません。
 以上、私がこれまで4年間自分で経験し、確認した太陽光発電の課題を略記しました。太陽光発電は決して悪いものではありませんが、私はエネルギー設備としての評価が未だ十分になされていないものであると考えます。国の制度のおかげで、急速に設置台数が増えていますが、設置してからの運転データや効率改善の試みなどが新聞や専門雑誌に掲載されたものはほとんどみません。すなわち、「置く」ことに価値があって、「どう使うか」というエネルギー設備としての重要な観点での評価がなされていないことに疑問を抱く今日このごろです。
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森田裕之です、技術者らしい着眼点も、実証・検証の態度も立派だと思います。
私は、根拠は薄弱な直感ですが、既存の石油・ガスのエネルギーコストが今後,低位に安定して、いかなる代替技術、風力、太陽光、地熱等割に合わず、消えていくものと考えています。
世界的にエネルギー産出国の没落も予言しておきます。
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原田敬美です。
太陽光パネルには製品の質としての性能のばらつきが大きいと聞きましたが、いかがでしょうか?
中国製のパネルは、現状で、かなりいい加減とも聞きましたが。

高等教育機関での監査の必要性 -充実した研究成果はしっかりした監査体制から-
平成25年2月22日 原田敬美 理事長 博士(工学)、技術士(建設)、一級建築士

NPO技術フォーラムは地方自治体を対象に技術分野の監査のお手伝いをしています。不祥事に関する新聞報道を見ると、多くの組織で専門分野の視点の監査が必要と思います。その一つが大学含めた高等研究機関の監査です。
iPS細胞の研究成果が高く評価され山中教授の研究グループ含め関連研究に1000億円以上の研究予算が付けられるようです。結構なことで、日本の研究を引っ張り、ひいては日本の科学躍進により経済が発展することを期待しております。
課題は、研究費の使われ方です。専門的な第三者が会計監査や専門的視点からの監査をする仕組みがなければ、無駄、不正な使われ方をする恐れがあります。かつて著名大学でカラ出張、預け金で研究費を不適切に処理したとして処分が行われました。
私の個人的体験です。1994年早稲田大学理工学総合研究センターで客員研究員を依頼されました。建築実務の恩師である世界的な建築家菊竹清訓氏が企業からの寄付を大学に委託し、私含めた若手研究者と共同研究を始めました。
研究管理者に指名された早稲田大学建築学科教授N氏は、研究管理の仕事をせず、また、会計帳簿も作成しませんでした。ご注意を申し上げた所、へそを曲げたのか、外部研究員の我々に対し研究活動から手を引けと恫喝でした。
氏は外部の研究員を招いての研究体制について未熟であり、大切な寄付金の経理処理の重要性について意識が全くありませんでした。こうした経験からも高等教育機関での監査の必要性を感じております。
 良い研究体制を構築し、良い研究成果が生まれる根底には、適切な専門監査が実施されることです。同分野の別の専門家に監査を依頼するというピアチェックも必要です。専門監査に関して、個々の研究者の自覚と組織としての自覚が求められます。
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森田裕之です、私は今千葉工大の尾上教授と中島教授、上智大の清水教授との研究会に参加していますが、会計的には補助金に関してはかなり神経質に対応しています。
技術監査はどう対応するかについては、いまのところ考えたことが無いので、コメントがありません。

1994年の原田さんの経験は、いささか古い経験で今時の大学の先生方にはどうかなと思います。形式的にはしっかりやっているというのが、私の現状認識です。
むしろ不祥事・早稲田の風車問題や原子力の学閥シンジケートの弊害あたりが「技術監査」で顛末を明らかにしていく役割があるように思います。
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森田裕之です、千葉工大の尾上教授によると、同大学の仲間による監査があると言っていました。
役所による大学の監査の技術監査を提案するのか、実態をよく把握してからの提案を希望します。
私は、大学の不祥事の顛末を監査・コンサルタントに調べさせろという提案を希望します。
組合員の芳が原君(筑波在住)が、立ち話だったけど役所の仕事があったときに、早稲田の件を大分質問したと、言っていました。
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岡です。
おそらく現状では、研究機関の監査は通常に監査と同じレベルと思います。
つまり、普通の公認会計士による監査です。
その点でいえば、もう少しピアチェック(科学技術者による監査の重要性)
を強調してもよいと思います。

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2013/4/28 原田敬美です。

最近の新聞報道についてです。
26日讀賣新聞報道です。
京都大学元教授(収賄で逮捕)が初公判で収賄を否認、商品券受領は認める、との報道です。
また、文部科学省の調査で、北海道大学、大阪大学、日大など40を超える大学で研究 費の預け金など不正使用、流用があったと指摘がありました。
京都府立医科大学の研究論文が捏造されたもので、論文掲載を取り消したとあります。
役所と違い、市民の目が入らない組織です。
大学も技術監査の対象として、十分検討に値します。


「矛盾したことをやりぬく力」
  平成25年2月16日  石井 利明

私は地元の漁業組合で理事をしています。その、きっかけは15年位前にアメリカのイエローストーン国立公園で半年間研修をしたことでした。
 この研修で何を学んできたかというと。どういう仕組みで環境が保護されているか、についてでした。
 この時、アメリカの現地で見聞きした事は、現在も日本で盛んに言われている"生物多様性"とか"地球環境保全"とは、様相が違いました。両国とも原則に違いは無です。しかし、現実は大きく違います。その違いを一言でいうと、彼らは"矛盾することを同時に行う"ことで、結果的により良い環境を作り出している、ということです。
 もう少し説明すると、ある場面では、在来種の魚より移入種の魚が大事にされます。
なぜか?
 それは、移入種の魚がお金を産むからです。

アメリカでは、5年に1回、釣りとハンティング、動物観察というアウトドア・レクリエーションの全国調査が行われます。
 最新の調査では、これらのアウトドアの市場規模は10兆円でした。
 自然保護の意識の高い人は、お金の話をすることを嫌がりますが、お金がなければ何も出来ません。
 
この大きな市場規模を背景に彼らが何をしているか。
川の場合だと、ひとつは、水利権(すいりけん)の獲得です。
水利権とは、川の流水、湖の水などを排他的に取水し利用する権利のことです。
日本では自然保護のための水利権は無いのですが、アメリカの一部では農業や工業より自然保護のための水利権が強いところがあります。
私は、この話を聞いて、「日本では魚の(環境保全)ために水利権は取れない」と言ったら。
彼らは、怪訝(けげん)そうな顔をして。
「水(利権)がなけりゃ、魚は守れないだろう!」と言いました。

全く、その通りで。これを聞いたとき、これが世界基準のモノの考え方かと納得しました。
単純な現実問題の共通理解があって。その上に、難しい"生物多様性"のような考えが載るという形が世界基準です。これに比べると、頭でっかちな私たちの自然保護の考えは上下逆さまで歪(いびつ)です。

また、こう言うと、必ず、「それは国土が広いアメリカだから出来るのさ!」と言う人がいます。
私は、それは違うと思います。
例えば、ヨーロッパの小さな(日本の県くらい)国でも、形態は違いますが自然保護のために水利権は獲得できます。
国土の大小より、モノの考え方のほうが大切なのです。
ーーーーーーーーーー
森田裕之です。私もフロリダのエバーグレース国立公園を回ったことがありますが、当時ダムを全部壊して、自然に戻している時期でした。
民主主義と政治が原理原則で実施されている国の凄さを実感したのを、覚えています。

「技術監査と農作業」
平成25年2月8日 技術士(電気電子)石川敏行

私の故郷は山梨の石和温泉です。
電車で田舎に帰ることが多く、勝沼を過ぎ甲府盆地が見え山並みが目に入ると山梨に帰ってきたという実感がする。
特に葡萄の棚が山の斜面に沿って葡萄棚がみえると幼少時にこの盆地の農家(実家)で果樹園の手伝いをして育った時代のことを思い出します。
特に葡萄や林檎や柿などの果樹について小中学生の頃、農作業を手伝いました。
その概要は、冬では畦をほり肥料を施し、適度な枝の長さに剪定をする。春には目が出てきて寒い日には霜対策や幹と皮の間の虫対策、5月の開花あとの小さい実の時に種無し葡萄とするための「ジベレリン」液に小さい実を浸す作業があります。
また、夏前には鳥が葡萄の実を食べないようにネット張り、夏は棚下の草が猛烈な勢いで伸びるための草取りや肥料の施しや消毒の作業を引き続きおこないます。そのあと収穫して箱詰めと出荷で「果物」として市場に出荷します。
これらの各作業の重要度は判りませんが、どの作業も、手を抜くと本当に「売り物になる良い果実」ができません。
このように冬から春、夏にかけて、ブドウの果樹(木)の枝葉の成長の状態を観察して、適切な対応をすることで八百屋やスーパーの店先に並べられる商品とすることができます。
一概に農作業とビジネス(ものづくり)は共通点がないようですが、よく考えると共通点が多いように見受けられます。
独断と偏見ですが、剪定は適切な実の大きさを保つための作業、肥料をほどくしことは商品としての甘い実を実らせるための作業、種無しの作業は商品の価値を上げるための作業、草取りは同様に養分が果樹に吸収されやすくし美味しい商品とするための作業、消毒は売り物に傷がつかないようにするためのリスク排除作業で、「ものづくり分野」に共通しているのではと考えます。
各段階で適切な処理をおこなわないと良い調査や建築物ができないことでは、現在取り組んでいる技術監査においても共通する点が多いと思われます。
技術フォーラムの活動に置き換えると営業活動、実際の調査、その後の報告書作成とフォローなど各段階で熟慮した対応を考え、技術レベルや表現など一層レベルアップを行い、幅広い知見を持って客先の調査や提案を実施すべきである点で共通点があると考えられます。

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これまでの日本の物作りのやり方が、農作業のやりかたを踏襲してきたと言う分析は、間違いないところでしょう。
ただ、最近の電機業界の凋落は、狩猟民族的な物作りのやり方に敗北を喫していると言うのも、事実のようです、余計なコメントだけど。
森田裕之


トンネル事故に思うこと
  平成25年1月31日 技術士(電気電子)石川明彦


 中央高速道路の笹子トンネルの天井が突然崩壊しました。外から見ると突然かもしれませんが、内部では崩落の準備がどんどん進んでいたことになります。このような事故が起きてから、大慌てで全国のトンネルの天井を再点検し始めました。この事故について2つの点を感じました。
 一つは品質管理の問題です。聞くところによると品質管理では、「最初の問題が起きるのはやむを得ない。次からこの経験を生かして、品質を確保してゆこう」というものだそうです。その点では日本製品は成功していると思われます。日本製は世界的にその品質の良さを認められています。あるアメリカ人から聞いた話ですが、米国FORDはFixed Or Repaired Dailyの略だそうです。しかし最初は仕方がないとの考えが、何か日本初の新製品が出ないことと今回のような経験のない事故の発生と関係しているように思えます。
 二つ目は、目に見えないことはやむを得ないと考えがちです。今回のトンネル事故でも目に見える範囲での点検を行っていたようですが、目に見えない、あるいは見にくいところは見逃されていたようです。「見えないんだから仕方がない」、「見えないから分からない」で現実から逃げているように感じます。
 目に見えないという点では、電気および情報が典型的な例でしょう。特に情報処理については、情報そのものが全く目に見えないうえに、処理を行っているソフトウェア(あるいはプログラム自体)の実態も見えません。これでは、「情報の監査は行いたくても手が出ないよ」というのもうなづけますが、ちょっと待ってください。経験豊かな情報の専門家は、目に見えないソフトウェアを見る方法を知っています。監査の事務局は土木・建築などのほかの工事監査と同様に、監査のポイントを示して、詳細は専門家に任せればよいのです。今後も予算が増大し続ける情報設備の監査の必要性はますます増えます。ぜひ情報の監査を行うべきでしょう。

技術監査人の独り言
  平成25年1月6日 高木育巨


 30年ぐらい前、ある個人経営に近い形態の機械メーカーで電気関係の業務の指導に行った。このメーカーは,機械メーカーではあるが,最先端のコンピューター技術を駆使したメカトロ的製品も沢山手がけている。技術レベルもかなり高い。まず、製品の中における電気関係の業務の位置付けを把握するため,いろいろな資料を見せてもらったが、ほとんど電気の項目が見当たらない。出荷試験の工程表を見ても電気関係の試験時間がほとんど取られていない。製品は、高度なエレクトロニクス関連の機能もあり,試験調整にもかなりの時間が必要な筈である。聞いてみると,電気としての業務は,あくまで「附属」として扱われ、電気設備の試験調整は機械の試験の合間に行っているとのことである。私はまず,電気的な業務を機械製品の附属という概念から自立させる意識革命からスタートさせた。立ち上げは順調に進み、今では電気関係の業務も組織や工程の中にしっかりと位置づけられ、世界的な大企業に躍進している。

 私は、技術監査人として、電気部門の監査を担当させて頂いているが、監査においても、同じような問題がありそうである。電気設備は、電気設備として独立して監査が行われることもあるが,ほとんどが建築設備の附属として扱われている。確かに金額的には,電気設備は建築設備の附属と考えてられても違和感はない。しかし、監査の対象となるような設備はほとんど6,600ボルトの高圧が引き込まれている。感電すれば間違いなくあの世行きである。安全性から見た場合、電気設備の監査は建築設備の監査の付属とは言い難い。    技術フォーラムでは、組織として対応する体制を作っており、重要な設備については、建築設備の監査であっても、電気部門や他の関連部門の技術監査人を交えて長い時間をかけて詳細な検討を行い、問題点を把握してから監査に臨む。しかし、それでも電気設備として独立して監査をする場合に比べると必ずしも十分とは言い難い。そもそも、外部監査が行われる件数そのものが全体の1%にも満たない。これらの安全性についての監査は大丈夫なのか。世の中には、「そんなに心配しなくても命まではとられまい」という言葉があるが、これは命までとられる問題である。杞憂であってくれればよいがと念じているが、電気の技術監査人の心配の種は尽きない。